Q1.クリーニング、PMTC、フッ素塗布などを定期的に受けていれば、普段のブラッシングに力を入れなくても良いのでしょうか?
普段のブラッシングは必要で、しっかりとできるようになっていただきたいことになります。クリーニング、PMTC、フッ素塗布など予防歯科の治療は、基本となる普段のブラッシングに補助的に「プラス」するものだとお考えください。
インプラント治療とは、虫歯や歯周病、不慮の事故などで失ってしまった歯の代わりに人工の歯根部を埋め込み、その上に人工歯を固定する治療方法です。
予防歯科とは、虫歯や歯周病を未然に防ぎ、悪くなりそうな歯を未然に改善し、歯や口を健康に保つためにメインテナンスを行うことです。
虫歯や歯周病になってからの「治療」ではなく、そもそも虫歯や歯周病にならないための「予防」を大切にする歯科スタイルのことです。
従来の日本の治療に多い「歯が悪くなってから歯医者に行く」というスタイルから「歯が悪くなる前に定期的なメインテナンスをする」というのが予防歯科です。
保険制度のおかげで充実した歯科医療を受けることのできる日本ですが、「予防歯科先進国」と言われるヨーロッパの国と比較すると、全体的に虫歯の数が多く、高い割合で高齢者の方が入れ歯を使用しています。
その違いは、「歯が悪くなってから治療のために歯医者を受診した」のか、「そもそも歯が悪くならないために歯医者を受診した」のかの違いだと言われています。
歯が悪くなってからの治療では、歯を削る、抜くなどの大きな処置が必要になることが多く、歯の寿命を短くさせる恐れがあります。予防歯科をしっかり行うことにより、治療自体を避けることができる可能性があります。
また予防歯科によって生涯の歯科医療費が抑えられるという分析結果も出ています。
歯は一度失うと元に戻すことはできず、大きな治療が必要になります。さらに歯を失うと、食事も楽しくなくなり、人との会話を楽しめなくなり、QOL(quality of life)つまり生活の質が下がってしまいます。
現在日本歯科医師会では『8020運動(ハチマルニイマル運動)』という80歳になっても20本以上自分の歯を保とうというスローガンをかかげており、予防歯科の重要性が注目されています。
予防歯科のメインは虫歯や歯周病を未然に防ぐことですが、虫歯や歯周病になりやすい人の特徴を挙げてみます。
口腔内の中には「常在菌」が存在します。常在菌には外からの病原体の侵入を阻止する役割もありますが、この中に「ミュータンス菌」という虫歯菌の割合が多いと、虫歯のリスクが高まります。虫歯菌は一般に家族からの伝染する場合が多いため、子供のうちに予防しておくことが大切です。
人によって歯の質にも強い、弱いがあり、それによって歯が溶けやすい人は虫歯になりやすいといえます。歯の強さは生まれ持ったものですが、予防によって強くすることも可能です。
唾液には、虫歯菌が出す酸を中和してくれる働きがあります。そのため、唾液が少ないとその効果が得られず、虫歯になりやすいといえます。
甘いものは虫歯菌の餌となるため、虫歯菌が繁殖し、歯を溶かす方向に進んでしまいます。つまり、口の中に糖が長く停滞すればするほど、虫歯の危険性が高くなります。
特に甘い飲み物をよく飲む、飴をなめることが多い、などはより危険性が高いといえます。
歯磨きがうまくできていないと、プラークと呼ばれる虫歯菌の塊が歯にべっとりと残ってしまっており、虫歯になりやすいといえます。
虫歯の予防としては歯磨きが一番です。しかし歯磨きは簡単ではなく、しっかり1日3回やっているにもかかわらずプラークが多い人もよく見かけます。
また歯並びが悪い、矯正治療中で装置が口に入っている場合なども、磨き残しができ、その部分は虫歯になりやすいといえます。
お口の中は常時唾液によって殺菌されています。唾液の量が少ない、口呼吸によって口がよく乾燥する人は歯周病が進行しやすいといえます。
喫煙は歯茎の正常な細胞を壊してしまい、さらにはニコチンによって歯茎の血行が悪くなることで、歯周病が悪化します。
年齢とともに免疫力が落ち、歯周病にもなりやすくなります。
妊娠、出産、閉経などによりホルモンバランスが崩れると、急激に歯周病が悪化することがあります。特に妊娠の際は「妊娠性歯肉炎」という病名があるように歯肉が腫れたり出血することが多くなったりなどの症状が出やすくなります。
ストレスは万病のもとと言われる通り免疫力の低下を起こし、歯周病にもなりやすくなります。
歯並びが悪いと、噛んでいる歯に負担が多くかかり、歯周病が悪化しやすくなります。
矯正治療中で装置が口に入っていてかつ、磨き残しがある場合、その部分が歯周病になりやすくなります。せっかく歯並びがよくなっても歯周病になってしまっては台無しなのでしっかりとした予防治療が必要になります。
まずは基本となる毎日のブラッシングをしっかり行えば、虫歯や歯周病の大部分は防ぐことができます。特に歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用し、歯間部の汚れをしっかり取ることが重要です。
効果的なブラッシング法を歯科衛生士から丁寧に指導させていただきますので、気軽にご相談ください。
また定期的に歯科健診、クリーニングを受けることも大切です。虫歯は早ければ6ヶ月でできてしまうことがあります。 自分では気付かない歯の問題を早期に発見し、取りきれていない汚れや歯石を綺麗にすることが大切です。
PMTCとは、専門の機器を用いて、虫歯や歯周病の原因となる歯の表面についた「バイオフィルム」や歯垢、歯石を徹底的に除去する、本格的なクリーニング法のことを言います。通常のクリーニングよりも歯の表面をきれいに研磨し虫歯菌や歯周病菌を付着しにくくすることができます。PMTCを続けていただくことで、高い確率で虫歯や歯周病を防ぐことができます。また歯の表面の着色を除去することで、歯の色を自然な色に保つ効果も期待できます。
定期的にPMTCを受けたグループと受けなかったグループを比較すると、 ~受けなかったグループが20年間で約70倍虫歯になった~ という研究結果もあります。
歯を削ったりしないので痛みはほぼありません。 ~歯の表面のバイオフィルムは約3ヵ月で再生する~ と言われていますので、それに合わせ定期的に行うことをおすすめしています。
歯の表面に高濃度のフッ素を塗布することで、虫歯を予防することができます。
フッ素には以下の効果があります。
歯のエナメル質に取り込まれることで歯を硬く強くする。その結果、虫歯の原因となる酸に強い歯になる。
一度虫歯になりかけた歯を「再石灰化」させる唾液の作用を促進することができます。
虫歯菌の活動を抑えて、歯を溶かす酸が発生するのを防ぐ。
フッ素の塗布は乳幼児や子供の虫歯予防にも効果的です。最近では加齢によって見えてきた歯の根本の虫歯の予防にも効果的だといわれています。
年3~4回は行うことが理想です。
予防歯科においては、ご自分で行う「セルフケア」と、歯科医院で行う「プロフェッショナルケア」の双方が必要です。
当院では患者様一人一人に合った予防プログラムを提案させていただきます。
健康な歯を維持していくため、ご来院お待ちしております。
※予防歯科は原則、保険外診療となります。
普段のブラッシングは必要で、しっかりとできるようになっていただきたいことになります。クリーニング、PMTC、フッ素塗布など予防歯科の治療は、基本となる普段のブラッシングに補助的に「プラス」するものだとお考えください。
予防歯科においては「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」の双方が必要です。 ブラッシングではどうしても取りきれない汚れがあり、未然に防ぐことが大切なため、定期的な来院をおすすめしております。
定期的に行う予防歯科は自由診療になります。一回の料金は負担がありますが、その分虫歯や歯周病になってからの来院の手間や治療費を考えれば、予防するメリットは十分にあります。